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ナフサや石油化学製品、原油の1週間のレビューをまとめてご提供。また、レポートの魅力の1つである国産ナフサ価格の予想値/評価値も掲載しています。ニュースや統計もまとめてご覧いただけます。Dailyレポートと同様に、価格改定情報、貿易統計値も配信しています。

レポートの見方

1.C&F JAPAN評価値

C&F JAPAN(ドル/MT
2011年7月1日午前10時時点での
C&F JAPAN評価値
単位:ドル/MT、( )内は前週最終営業日午後6時時点の評価値との比較

ナフサの取引は長期契約の取引もありますが、その多くが先渡し取引と呼ばれる取引形態で取引されています。先渡し取引とは、現時点で将来の値段や数量を決め、相対で決められた期日に売買を行うことを約束する取引のことです。一回ごとの契約で取引される場合に用いられる市場価格のことをスポット価格といいます。需給要因などにより、スポット価格は刻々と変動しています。

現時点での取引価格であるスポット価格で取引された金額と数量、これらを1ヶ月分まとめたものが通関価格、つまり輸入ナフサ価格となり、これを基に国産ナフサ価格は決定します。それゆえ、現時点の国産ナフサ価格の理論的な価格はいくらであるのかを試算する上で、スポット価格は欠かせないものです。

ナフサ取引は世界中で行われていますので、各地域ごとにさまざまなスポット価格が存在しています。国産ナフサ価格の基となる通関ベースの価格は、日本に到着するものに限ります。この日本到着ベースの契約であるスポット価格はC&F JAPAN(Cost and Freight)契約といい、日本到着渡しの価格で船賃が含まれているものになります。日々変動するC&F JAPANスポット価格を確認することで、ナフサマーケットの動きを把握することができます。

ナフサ取引は1ヶ月毎ではなく半月毎の受渡条件で取引されるのが慣例であるため、デリバリータームは月の前半(15日まで)と後半(16日から)とにわかれています。一般的にナフサのアジアスポット価格というのは、2ヶ月後に到着する価格で示されます。上記の1月8日の場合は、2ヶ月後に相当する3月前半着(2LINE)と3月後半着(3LINE)が一般的にスポット価格として示されます。つまり、この時点でのC&F JAPANスポット価格は、383.75-385.50ドル(中値384.625ドル)ということになります。

評価値とは、毎週最終営業日午後6時時点の原油相場やプレミアム評価、クラックスプレッド等を勘案して独自に算出した値で、この時点でスポット取引をする場合の理論的な値になります。売り方、買い方双方に中立的な立場で算出していますので、取引するにあたっての参考価格になります。クラックスプレッドとは、原油からナフサを精製する際のコストのことです。

契約期限が長い期先(きさき)の評価値については、まず原油相場のフォワードカーブ考慮して算出しています。原油相場のフォワードカーブとは、その時々の市場が形成する長期の原油価格の期待値のことです。期限の短い期近(きぢか)よりも期先になるほど価格が高い状態をコンタンゴと呼び、逆に期先になるほど価格が安い状態をバックワーデーションと呼びます。

期近安・期先高のコンタンゴの状態は、先高観が強いということを表している訳ではありません。足元の石油化学製品の需要が低迷し、ナフサに余剰感がある状況などで起こります。つまり、コンタンゴの状態は需給が緩和していることを表しています。期近高・期先安のバックワーデーションの状態は、先安観があるという意味ではありません。足元の石油化学製品の需要が旺盛であり、ナフサにタイト感がある状況です。つまり、バックワーデーションの状態は需給が引き締まっていることを表しています。

前週との比較のほか、期近と期先との比較など総合的に捉えることで、現在のナフサマーケットが上昇局面にあるのか下落局面にあるのか、判断することができます。

2.OPEN SPEC NAPHTHAスポット取引プレミアム評価

OPEN SPEC NAPHTHAスポット取引プレミアム評価
2016年1月8日午後6時時点での
Open Spec Naphthaスポット取引プレミアム
単位:ドル/MT、+はプレミアム、-はディスカウント

ナナフサの規格、取引条件等を定型化したOPEN SPEC NAPHTHA取引は、ナフサ取引の代名詞であり変動価格でも取引されます。マーケットの状況により変動価格(指標価格)に対し、プレミアムが(あるいはディスカウント)がつき、取引価格が決定されます。 例えば、1月1日の時点で2月後半着のナフサ価格を売買するとき、次のような計算式で価格を算出する場合があります。

2月後半着ナフサ価格=1月第4週目のナフサ価格(C&F JAPAN)平均+α

COUNT30日前を利用すると、2月後半着の30日前である1月第4週の価格を適用します。ただし、この時点では、1月第4週目のナフサ価格はまだ決定していません、つまり、今後変動し得る変動価格で取引をすることになります。足元の動向を勘案してαは変動します。コンタンゴであれば指標価格に対しディスカウントとなり、バックワーデーションであれば、指標価格に対しプレミアムがつくことになります。 つまり、OPEN SPEC NAPHTHAスポット取引プレミアムは、ナフサの需給逼迫度合いを示す指標にもなります。プレミアムが上昇すれば需給逼迫度が増し、下落すれば需給逼迫度は薄れます。プレミアムの水準を確認し続けることで、ナフサ需給を読み取ることが可能となります。

3.ナフサMOF/国産ナフサ価格予想値および評価値

四半期に一度決定する国産ナフサ価格。4月末、7月末、10月末、1月末に、それぞれ3月、6月、9月、12月の輸入ナフサ価格(速報値)が決まることで、第1四半期(1-3月期)、第2四半期(4-6月期)、第3四半期(7-9月期)、第4四半期(10-12月期)の国産ナフサ価格が決定します。

ナフサスポット価格の変動に伴い変化する輸入ナフサ価格(ナフサMOF価格)の期近分の予想と期先分の評価を、毎営業日午前10時に行っています。NAP REPORTでは、決定した輸入ナフサ価格、国産ナフサ価格はもちろんのこと、これから決まるナフサ価格の予想値/評価値について、足元の理論上の価格を掲載しています。

評価値とは毎週最終営業日午後6時時点で仮に取引する場合の理論価格、予想値とは最終的に決まるであろう予想価格のことです。予想値は太字で掲載し、評価値は細字で掲載しています。

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原油先物市場のWTIおよびBRENT原油価格の期先15ヵ月分のデータを基準に、原油とナフサ市場から算出したクラックスプレッドを加味し、ナフサC&F JAPAN価格を期先12ヶ月分(24ハーフマンス分)を算出。この数値を基に、日本へ輸入されるナフサの種類、原産地、契約形態、マーケットプレミアム等を勘案し、ナフサMOF価格の評価値/予想値(ドル/MT)を算出しています。

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財務省が毎週火曜日に公示する通関に使用される為替レートである外国為替相場(課税価格の換算)と、算出日の主要メガバンクの公示レートTTM、それに為替(ドル/円)のフォワードマーケットのスプレッドを用いて算出しています。

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ナフサの比重を0.695とし、①および②を基にナフサMOF価格の評価値/予想値(円/KL)へ換算しています。

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絶対値(太字)は実際に決定した輸入ナフサ価格です。直近の値は速報ベース、それ以前の値は確報ベースの輸入ナフサ価格になります。以下のカッコ内の値は、③の評価値/予想値の前営業日に算出した価格との比較になります。7月1日時点での2011年9月の輸入ナフサ価格(評価値)は5万2459円で、前週末の6月24日時点の評価値からは1164円上がったことを表しています。

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国産ナフサ価格の評価値/予想値です。先々の輸入数量が不透明である期先分については、ナフサMOF価格の3ヶ月分の単純平均値に2000円を付加し、10の位を四捨五入したものになります。期近分においては、ナフサを輸入する地域の輸入量の比率や各取引形態を考慮し、国内石化のナフサ輸入計画など調査結果を踏まえたうえで独自の輸入比率を算出します。その比率を用いた3ヶ月分の加重平均値に2000円を付加し、10の位を四捨五入しています。実際に輸入された数量が判明した分は、加重平均する際の計算に組み入れています。

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絶対値(太字)は実際に決定した国産ナフ サ価格(第3月目が速報ベース)です。以下、カッコ内の値は、⑤の評価値/予想値の前営業日に算出した価格との比較になります。1月5日時点での第1四半期の国産ナフサ価格(評価値)は3万8600円で、前日の1月4日時点の評価値からは500円下がったことを表しています。

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絶対値(太字)は実際に決定した国産ナフサ価格(第3月目が速報ベース)です。以下、カッコ内の値は、⑤の評価値/予想値の前営業日に算出した価格との比較になります。7月1日時点での第3四半期の国産ナフサ価格(評価値)は5万4900円で、前週末の6月24日時点の評価値からは800円上がったことを表しています。

上記より詳細をご確認いただけます

4.国産ナフサ価格予想値及び評価値の推移

まだ決まっていない直近の2四半期分の国産ナフサ価格予想値および評価値の推移を、グラフ化(太線)したものです。細線は、ナフサC&F JAPANに為替および比重(0.695)を乗じた数値の推移で、足元のナフサ価格の動きを表しています。期間は国産ナフサ価格が決定する、4月末、7月末、10月末、1月末までの7ヶ月間の推移です。

上のグラフは、2015年第4四半期の国産ナフサ価格の予想値および評価値の推移です。2015年第4四半期の国産ナフサ価格は、2016年1月末に発表される12月の貿易統計を基に算出される輸入ナフサ価格により決定します。その発表までの7ヶ月分をグラフ化したものになります。

10月中旬までは、足元のナフサ価格(細線)との相関が高いことが窺えます。しかし、その後は徐々に乖離した動きとなっています。足元のナフサ価格は、スポット市況や為替の変動により日々変動しますが、時間を経るごとに10月~12月の輸入数量や輸入金額などが少しずつ判明してきます。また、11月末には10月の輸入ナフサ価格が判明することで、第4四半期の3ヶ月分のうちの1ヶ月分の数値が判明することになります。これまでは3ヶ月分の変動要素がありましたが、この時点からは変動するのは2ヶ月分となり、国産ナフサ価格(予想値および評価値)に与える影響度が低下します。よって、グラフ上でも第4四半期の国産ナフサ価格(太線)は価格変動が小さくなります。